世界的なロングヒットとなったスポーツカイト”Nirvana”によって、大成功を収めたR-Skyが、次なるヒットを狙いリリースしたスポーツカイトがNextUPである。(だから”Next”なんだろう。)しかし、NextUPはあまりにもエキスパートからの要求を意識したためか、Nirvnaのレーシング・バージョンみたいになっており、ある意味でマニア好みになっている。確かにStd仕様はスキルの高い人にとってはテクニックを発揮しやすく、トリックについても「オトコのスポーツカイト」のような面白さがあり、そういう人には堪えられない。しかも理論派向きになったため、初心者でも飛ばせたNirvanaのような「誰でも簡単カイト」のような安直さは減少している。
ところが、NextUP-LWになると、コンセプトが違うのじゃないかと思うほど大幅に優しい。風が少ない時に使用するLWではあるが、Std仕様のNextUPとは味付けがあまりにも違うので、悪い意味ではない戸惑いは隠せない。強い男だったのが、強い女くらいの違いに変わっている。
これはNextUP-LWが悪くなったと言っているのではない。Std仕様が重戦闘機ならばLWは軽戦闘機かと思いきや、もうちょっと鋭い戦闘機であるには違いないが、どう見ても従来のNirvana-LWに非常に近い。その大きな原因はセイル形状の違いである。NextUP-Stdはハイアスペクトな翼形状をしている。それはNirvanaのセイルの上下を詰めて短くしたので、横に広がった。この形状の目的はすべて前後への運動性向上のためである。
ところが、NextUP-LWのセイルはほぼNirvanaのセイルに合致し、それに翼端タブを追加した分、セイルの翼端幅を稼ぎ、若干の翼面積の増加となっているもののサイズ的にはNirvanaとほぼ同じである。
弱風で使うスポーツカイトは大きい翼面積が欲しいのだ。だから、上下が伸びて、結局、元のサイズになってしまったか。これも緻密な計算なのか。
しかし、この元に戻ったことはLW仕様には大きなメリットを与えている。この場合はタブの重量増も帳消しにしているほどのメリットだからだ。
NextUP-LWのこのLWの意味であるが、Low-Windの頭文字を取っている。この手の仕様は普通、他社ではUL(ウルトラライト)仕様と呼ばれている。なぜR-SkyではULと呼ばないのか。LWは、ただただ弱い風で揚るように目指したUL仕様ではないからである。つまり、極端な微風(1m台の)は実用上は考慮されていない。短いラインで引き回せば意外と微風でも揚るが、そういう使い方よりも、最低30m以上のラインで使うことを前提にし、Std仕様が揚り辛い風速まで風が落ちたとき、このLWに換えることでStdのようなメリハリのある飛びをさせようと考えて作られている。だから、実際に飛ばしてみると、風速2m台が実用上の中心風速となっている。そして上はStd仕様とオーバーラップして使える。換言すれば、軽量なStd仕様とも言えよう。
特に競技フライヤーの場合は微風で揚ってくれても、そのためにテンションがダルになり、キレのないUL仕様は好ましくないと思う。仮に下限が若干高めでも、それはスキルと足でカバーし、飛びのメリハリにおいてStd仕様並のものを優先したい、そう思う。R-Skyはまさにそうしたいから、ULと呼ばずにLWと呼んでいる。飛びの質を優先している。
そうは言っても、あくまでも弱風用の仕様なので、風が少なくてもモチロン揚ってくれる。そんな弱い風速下でもほどほどのテンションが手に伝わり、無反応なところはない。テンションがあるので直進性もいいし、ターンのキレもいい。Std仕様よりは軽いので、その風速の元ではキレある飛びをする。
スパインのテイル内部にはバラストが仕込まれており、風速2mぎりぎりでは若干のオーバーステアが感じられ、もう少し少なくてもいいのでは、という気もしないことは無いが、トリックはまるでStdのように出きる。Nirvanaではいくらかスローだった前後への回転速度もあまり力を入れずともシュンと回るし、コメットの速さはNirvanaと大体同じで、スキルが低くてもモーターのように回せるだろう。NirvanaとNextUPのいいところを少しずつ貰った感じである。クセもなくて非常に飛ばしやすかった。
仮にNextUP-Std仕様ではスキル不足を感じるレベルのフライヤーでもNextUP-LWだったら、逆にイージーに感じるだろう。強風まで使う気がなければ、Std仕様のライト・バージョンとして日常的に気分良く使える。
また、普段Nirvana-Stdを飛ばしているフライヤーがNuxtUp-LWを弱風用に持ったとしても、ハンドリングの差はあまりなく、殆ど違和感はないだろう。よく揚り、また実用性も高い。そして、コレよりも更に低い風速1m台から下での使用の場合には、ちゃんとNextUP-WWという、これまた微風に滅法強くて、しかも、そんな低い風速なのにキレ良くて、細かい図形も描きやすいSUL仕様に匹敵するバージョンも用意されている。
スタンダード仕様とオーバーラップさせる風速域で、スタンダード仕様が揚り難くなったときに、このLWを使用すれば、水を得た魚のごとく元気を吹き返し、スタンダードと同じようなテンションでトリックが出来る。しかもスタンダード仕様よりはクセもなく易しく、それでいてNextUpのキレある飛びを得ている。Nirvana-LWよりは良いのでそういう使い方にはピッタリである。
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