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スポーツカイト mar_137.jpg (1411 バイト)


TransferXT-Rのテストレポート。
(Std仕様)

■トランスファーXT-Rは(後はXT-Rと省略して記す)、フランスの名門メーカーのL’Atelier社が次期主力スポーツカイトとして、総力を挙げて作った強力な武器だ。XT-Rはフルサイズから若干スケール・ダウンしたサイズで、いま最もポピュラーなサイズである。競技ユースのスポーツカイトとしても使用範囲は極めて広い。個人競技者のために、かつてL’Atelier社での主力機種であったImpactと比べると、非常に安定したトリック能力を備え、同時に強風下でImpactのような強烈な曳きにならないように考慮されている。ヨーロッパではトリックスパーティ選手権からペアやチームに至るまで幅広く使用されているカイトである。

XTR-sasie01.jpg (44475 バイト)■XT-Rには従来のスポーツカイトとは違った試みも成されている。ブライドルにはCardonと称する二股式の装置がリーディングエッジ下側に取り付けられた。これはターンやトリックにおいて、ブライドル角度の変化を察知し、より早めにパワーが伝わりキレを良くするようになっている。また、通常、Tコネクター近くに取り付けされるセンター側のブライドルは、Tコネクターから50mmも下方に取り付けられており、これにより低空での風抜けが良くなり、強風下でのランディングもバシッと気持ちよく降ろせるようになっている。チームでの同時ランディングはもちろん、ランディングに自信の無いフライヤーにもこの恩恵は大きいだろう。スパイクしたランディングもやりやすい。

■エッジコネクターにはL’Atelier式の頑丈なビニール製カバーが施されているが、これはYOYO(トリックの名前)の際に、ラインがエッジコネクターに不要に引っかかることを防止している。またセイル後縁のレンフォース・マイラー補強も万全なので、YOYOした時にラインを締めすぎてセイルを切断したりする心配は全く無用。カイトの作りは端から端まで極めて手が込んでおり、ここまでやる必XTR-sasie02.jpg (45906 バイト)要があるのかと思うほどだ。もっとシンプルに仕上げても機能は同じだと思うのだが、L’Atelierの職人気質はここまでやらないと気が済まないのだろう。フレームに使用したカーボンの種類もフランスのライバルが使うロッドよりも一クラス高級で強いものを全面にチョイスしており、同じクラスならば、明らかにXT-Rにはコストが掛かっている。しかし、カイトの販売価格に殆ど差は無いので、それだけXT-Rはお買い得ということだ。

■XT-Rは強力なトリック機と位置づけられているものの、普通のターンとストレートとランディングで飛ばすならば、初心者でも何の心配もなくイージーに飛ばせる。しっかりとした曳きの感触で、XT-Rは安定した飛びをする。この飛行安定性のよさから、すぐにメガフライトやシンクロしてのフライトも出来るようになるだろう。スパッと切れるターンの味も心地いい。XT-Rをコントロールするには、小さいカイトと比べると幾分ストロークを要するが、そうであっても、とても飛ばしやすい。

XTR-sasie03.jpg (48910 バイト)■トリックを得意とする翼平面形をチョイスしているのは、XT-Rがトリックの面白いカイトとしての宿命を持って作られているためだ。アスペクト比の高い翼形状(若干横に長い翼)は、若干ノーズ幅が広めだが、この手の翼としては、各部の寸法も塾考されており、最もバランスしたお手本のような翼であると思う。風が上がると、多少パワーを要求するが、それも許容限度内であり、この大きさからすれば決して曳き過ぎではない。翼端タブ付きのカイトでは、スキルが不充分なフライヤーだとラインを翼端に引っかけたりしやすいものだが、XT-Rはブライドル配置がいいのでそういうこともあまりなかったので大丈夫だろう。

■まず、XR-R大得意のFadeから。安定した姿勢で空中にピタリと停止できる。低空でFadeすれば、RisingFadeでFadeしたまま上昇して行く。Fadeを基本とするトリックは数多いから、Fadeが綺麗でしっかりと浮いてくれるカイトは安心感が高い。XT-RはBackflipさせると長い脚をV字型に広げ、ラインはその両脚の間にしっかりと入り込む。だからMurtiLazy(連続レイジースーザン)もとても回しやすい。仰向け姿勢は容易に崩れないほどに安定感があるから、ビュンビュンと何回転でも回しやすいのである。また、同様に、しっかりFadeした姿勢からはBackSpinもとてもやりやすい。左右から交互にBackSpinしたり、BackSpin Cascadeしても、回転して元に戻った時の安定がしっかりしているのでやりやすいのである。このような横回転系のトリックにXT-Rは滅法強いと思う。どのカイトでもやるCascadeでさえも、XT-Rはお手本のように美しいCascadeができる。長い脚をしっかりと折り目正しく深く振るので、とても形が良く綺麗である。アスペクト比の高いXT-Rの翼形状は、当然YoYoでは威力を発揮する。バラストはセンターロッドの下端に15g搭載しているが、風速が上がったときは+10gまで追加した方がいい。YOYOへはAxcelからでもLouisで正立状態からでも、翼端のタブも貢献してか、カイトが左右にブレないから誰でも入れ易い。一XTR-sasie04.jpg (42017 バイト)発でヨーヨーコネクター位置に当たるのも左右のブライドルの幅とヨーヨーコネクターの位置が一致しているからだろう。がっちりとしたセイルなので、YOYOに入れたまま延々と飛ぶこともできる。ラウンチ直後の低空で瞬時にYOYOしても、姿勢をキープしたまま上昇することが出来る。YOYOに関しても面白いカイトである。(YOYOの巻き戻しを助けるためにブライドルの先にブライドルラインを1mくらい足してエクステンションとしておくと、ラインがコネクターの根元に食い込むことを防止できる。)

XTR-sasie05.jpg (41868 バイト)■XT-Rはブライドルの取り付け方法の妙で、ストールさせやすく、ランディングは大得意である。だから片足で降りるWingTip Spikeさえもやりやすい。また、フレームはとても頑丈に作られており、強風下でかなり荒々しいランディングをビシバシと繰り返しても壊れることは無い。リーディングエッジ上下とも5PTだから頑丈だ。また、ノーズにしても翼端タブにしても、作りは非常に頑丈なので長く使ってもなかなか消耗しないと思う。殆どのトリックの操作性は比較的イージーなXT-Rだが、唯一、Cometeだけは手の短い人にとっては回し難い。回らないということではない。左右に長い形式の翼の場合、ブライドル形式によっては左右が遠くなりストロークを求めるのである。別のブライドル形式にすれば、こういう翼型でも短くすることは出来るが、XT-Rはスリーポイントの適合がベストだと考えたようである。ただし慣れてくれば、Cometeを普通のスピードでスルスルと回すテクニックが付く。XT-Rはその飛びのスタイルのカッコ良さもあるので、ユーザーは充分に満足できるスポーツカイトのひとつに上げられよう。

photograph provided by L'atelier

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