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スポーツカイト mar_137.jpg (1411 バイト)



新登場のNSENIRVANAとどこが違うのか。

世界のベストセラー機であるNirvanaは、発売以来、現在もなお世界で売れ続けている。もちろんエスクでもそうだ。Nirvanaはエキスパートが競技で使うために開発されながらも、実は初心者が最初に使っても全く戸惑うことのない素直さと安定性があり、また、一部のロッドやブライドル長を変更することによっては世界のトップレベルの競技フライヤーが全開で飛ばせる程のすさまじい性能も発揮する。ある意味で完成されたカイトであるのだ。そんな中で、今までのNirvanaに平行して、姉妹機としてNSEが出た。その正式名称はirvana -econd ditionである。名前が長いので略してNSEと呼ばれる。NSEはその名の通りNirvanaの改良版としての位置づけにあるが、NSEのセイルは、デザイン・パターンとカラーが異なるだけで、セイル・サイズは全く同じである。また、ウィスカー長も位置も同じ。ロッド銘柄も同じである。仕様やグレードもNirvanaと同じ構成を取っている。エスクのメインはNSE-SというSkysharkバージョンであるが、このフレーム構成もNirvanaと同じである。ではどこが違うのか?

NSE240h.jpg (70924 バイト)ぱっと見た感じで明らかに分かるのはNSEはNirvanaよりもアスペクト比が高くなっている点だろう。それも当然で、トップスプレッダー位置は若干下げられ、ボトムスプレッダー位置は若干上に上げている。つまり、Tコネクターの位置はNirvanaよりも3.5cmも上に移動しており、トップとボトムの間は短くなった。ボトムスプレッダー長は1cm長くなっているだけだが、上に移動した相乗効果でアスペクト比を高くしている。私が個人使用しているNirvana-Stdはボトムスプレッダーを各4cm長いものに交換しているが、平面型で見ると大体このくらいの比率に一致する。R-SkyのOficial-Videoに登場するRichard DebrayのNirvanaがこのくらいの比率に見えたからマネしてそうしていたのだが、確かにYoyoはずっと入りやすくなっていた。

NSE240illu-05.jpg (25022 バイト)NSEが他に大きく変わったのはブライドルで、かなりショートなブライドルとなり、形式もダイナミックターボからリバースターボに変わった。ダイナミックターボよりもリバースターボの方が優れている訳ではない。このNSEのように上下の詰まったフレーム位置で、前後の振りを優先するにはリバースターボの方がいいと判断されたようだ。搭載バラストの量は3〜4g増加しNSEでは18gになった。
これらのスペックの変化を見ると、経験の少ないフライヤーからは「NSEはラディカルな性格のトリックカイトになったのではないか。」と思われるに違いない。ラディカルかどうかは後で説明するが、トリックの性能についてはNirvanaよりはずっと濃厚に仕上げられている。ワインに例えると、Nirvanaがシュペトレーゼならば、NSEはレーベンアウセレーゼくらい差がある。前後に動くトリックの能力は特に高くなっている。しかし、じゃじゃ馬なところは全くない。むしろ飛ばして見ると、今までのNirvanaよりも更にオトナっぽくなった印象さえある。それは、元々このセイル設計が非常に優れているために、変更に耐え得るのだ。ヨーロッパ型の飛行スタイルで飛ばす限り、NSEはストレートもターンもストールもバランスよく、チューニングアップされており、殆どのユーザーにクセなく受け入れられる素地を持っている。だからこそこんなにも世界中にファンが居るのであろう。トリックだけのカイトではない。

NSE240illu-02.jpg (39493 バイト)従来のNirvana-StdとNSE-Stdを同時に飛ばして比較した。風速は3.5〜5.0mくらいであった。ブライドルの値はどちらも工場出しのまま、糸目には全く手を加えずそのまま。Nirvanaのスピードはこのサイズのカイトでは平均的であるが、元々速いほうではない。2者殆ど同じという感じ。カイトのスピードは普通は風速が上がるとバーッと高速になったりするものだが、NSEは大きな変化を見せない。これは非常にガスティな風速下でも比較したが、NSEはガスティさにも影響され難かった。それに比べるとNirvanaの方は風の強弱に幾分敏感であった。このスピードの遅さは、意識的にそうしているものと思われるが、これはトリック中においてもそうで、トリックの動きもゆっくりと行なう。しかし、それはカッタルいものではなく、トリックしているカイトの動きの精度は高く、ただ充分な間合いをもっているのだ。よって、フライヤーが部分的にパワーを掛けることで強弱の変化をつけることはできる。もはやトリックが出来る出来ないの段階ではなく、全部できて当たり前の上に、トリックの質を競えるカイトになっているのだ。

NSE240illu-04.jpg (36406 バイト)アスペクト比の低いカイトでは、強いバックフリップを行うとノーズの突っ込み過ぎが起こりやすく、それを逆手で止めながら入れることもあるが、それはない。ピタッとした角度で水平に入る。仰向けや腹ばいの姿勢での安定性は非常に良く、ピタッと安定し、ここから始まるトリックはどんなトリックでもとても楽である。左右にグラついてタイミングが取り難いなんてことはない。重いカイトがドンと寝ている感じなのである。カイトが止まった時の安定性は素晴らしい。このへんは、NSEとNirvanaは同重量なのにまるでNirvanaが軽量級のような感じさえする。MultiLazyやBackSpinもきれいだ。またJacob(OursDesPrairie)もやりやすく半自動的に行なうに近いイージーさである。操作ストロークも少ない。
Fadeはちょっと戻りの反応が遅れる傾向があるが無視できる範囲である。Fadeの入り自体は実に容易である。これら一連の動きはNextUpの感じであり、Nirvanaよりは更に安定度がある。
しかし、速い回転のBackSpinや速い回転のCometeではNirvanaの方が軽いタッチで回転を上げられ、初心者でも失敗が少ないだろう。Cometeについては、Nirvanaは下手に回しても回るくらい容易なカイトであるが、NSEの方はちゃんとやらないと回り難いのでNirvanaと比べるとCometeは難しいかも。しかし、ちゃんとやれば物凄いスピードまで回転は上げられる。また横向きの回転についてもNSEの方が幾分パワーを多めに掛けねばならない。
Yoyoについては従来のNirvanaでも問題なく自在にできるのだが、しっかり押し込めないレベルのフライヤーでは、唯一Yoyoがやり難いと聞くことがある。ストロークを持ってしっかり押さねばならないからだろう。しかし、NSEではこのフレームが功を奏し、半自動的に入るから、誰でもできてしまうだろう。
CascadeはNirvanaは深めに入るので非常に折り目正しくきれいなCascadeになる。NSEの場合は、このブライドル値ではちょっと浅いCascadeである。しかし、これはブライドルの糸目変更で深く取ることは可能だろう。Cascadeは深いほうが優れるということにはならないので好みの範囲であろう。

NSE240illu-03.jpg (33360 バイト)NSEのカイト操作において、ストロークが短いのは当然で、Nirvanaよりもブライドルの短いNextUPよりも、更にブライドルが短いのである。NSEは現在のNirvanaよりも、よりハードな動きを求めるフライヤーにとってはいいと思う。ストレート性も悪くない。トリックは、よりイージーに入る。それを逆に言うと初心者が不用意な動かし方をするとトリック姿勢に入りかけてしまう可能性もあると思う。動きを遅くするように制御しているので決して過敏ではないが、トリックへの動的ポイントは近くにある。初心者に近い人は従来のNirvanaの方が素直でやさしいと感じられるかも知れない。しかし、もっとハードに攻めたい人は、NSEの方が好みに合うと思う。風が上がってもどんどん攻められるからだ。そして遅めで回る綺麗なトリックはとても上手いトリックに見える。速いカイトで目にも止まらないトリックをしたい人向きではない。激しいトリックよりもじっくり見せるトリックを狙ったカイトである。まあ、NSEとてNirvanaのコンセプトからは外れていない。NSEはNirvanaの使用目的(多分、個人バレエ競技種目)をより明確にし、そこを強調したチューニングアップを行なった、と、そういう事例だろう。

NSE240illu-01.jpg (41983 バイト)プレシジョン性能を究極に比較するとNirvanaの方が細かい動きでは精度が高い、しかし大きいターンや90度ターンでは殆ど差はない。
Nirvanaの翼型の方がプレシジョンには有利なのだろうが、逆に風ははらみやすいので、風速の上がりに比例して曳きがあり、抜けもし難くなる。NSEはそのあたりは改善されており、抜けはいい。逆に風速が2m以下に落ちた場合は、下はNirvanaの方が粘れるようだ。これらの違いはどれも究極の状態での僅かな差で、優劣をいうほどのものではない。

どちらかと言えばトリック好きの私としてはNSEの方が私の好みである。
しかし、だからNirvanaが劣っているとは思わない。だからNirvanaは今も生産されており、取って変わられてはいない。NirvanaでもNSEと同じようにトリックはできる。だが、あきらかに味付けの差は明確である。
NirvanaもNSEも総合的な採点では、とてもいいカイトだと思っている。なぜならば、ほんとにコントロールしやすいカイトで、大きな欠点は全くないからだ。世間には、ある部分が卓越していても、その反対に平均点以下の部分も同時に持ったカイトが結構あるものだ。一目標のための専用カイトではない、万人のスポーツカイトとしての機能を考えると、これはホントにやさしいカイトだと思う。だから世界で愛される。新しいNSEが加わって、Nirvanaのシリーズは今後も誰からも満足されると思う。

Photograph provided by R-sky


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