ラインの長さ
ラインには、その強さと長さが表示されています。初心者の時にはこの表示の意味がよく分からず、どれを買っていいか迷います。アメリカ製の場合、強さはポンドで表示され、長さはフィートで表示されています。例えば、「80
lb/100
ft 」このようにです。これは、80ポンドの100フィートのラインであるという表示です。まず、長さから説明しましょう。100フィートは約30メートルですが、通常の広さの場所で飛ばす場合は30メートル位の長さは手頃な長さです。一般的に30メートルから40メートル(100フィートから130フィート)までの長さのラインを使用するフライヤーが多く、それ以上の長いラインを使う方は、少ないと思います。競技会では、競技フィールドの広さに規制があるために、35メートルから40メートル程度の長さがよく使われます。古い本や古いVTRでは45m位の長さを推奨したりしていますが、海外では当時、長いラインを使用していたためです。
ポンドという単位に0.45kgをかけるとkg表示になります。スポーツカイトは初期の頃アメリカで盛んになりました。そのため、当時はアメリカ製しかなかったのです。ポンドやフィ−トを使っているのは英米だけで、世界の殆どの国はメートル法です。今ではスポーツカイトは世界中に広がり、その中心もヨーロッパになって来ました。そのことから、最近はヨーロッパ製のいいラインが日本にも入るようになりました。ヨーロッパ製はKgとm表示です。古い日本人フライヤーが、メートル法の日本でありながら、ポンド・フィート表示をいまも使うのは、日本にスポーツカイトが入ったとき、それはアメリカからで、当時はポンド表示のラインしかなかったためです。スポーツカイトのラインはポンド、フィート表示と決まっている訳ではありません。
スポーツカイトは、それをコントロールさせて飛ばすところに醍醐味があります。ですから、高さを競うシングル・ラインの凧とは違い、ラインが長ければいい訳ではありません。スポーツカイトはコントロールするラインが長くなると、カイトの動きがダル(緩慢)になり、逆にラインが短めだと、挙動がクイックになります。よって、30メートルから40メートルの間の長さのラインは、丁度バランスした長さでもあるともいえましょう。
なお、最近のようにトリックが流行ってくると、一回り小さめのクイックなカイトが多くなっています。その場合、25mくらいの長さのラインはラインの動きがよく視認できる距離でも有り、トリックの練習には向いています。短いラインで練習して、その後、長いラインに戻すという方法もあります。
ラインは長さによってスポーツカイトの挙動も変わり、また風が弱めのときは短くして空気抵抗を減らすなど、色々な使い方が出来るので、一つの長さに決めてしまうのではなく、何種類かを使い分けるのがベストでしょう。
ラインの強さ
さて、ラインの強さはどんなものがあるのでしょうか。下から30ポンド、50ポンド、80ポンド、90ポンド、100ポンド、150ポンド、200ポンド、300ポンド、500ポンド、。こんな段階ですが、Kgならば、その中間の値のラインが多数出ています。また、80ポンドから100ポンドの間が10ポンド刻みになっていますが、これはメーカーによって奇数、偶数があるためです。レーザープロラインは50/90/150で、アドレナラインは50/80/100/150であり、これはサイズ間隔の違いによるものです。競技者がシビアな状況下で使用するラインの判断を迫られる場合を除き、10〜20ポンドの違いはカイトの飛びに大きな影響を与える範囲ではありません。よって、神経質になる必要はありません。ただし、風速に負けて切れることのない強度だけは最低限お守りください。なお、使い古して来ると、1本に束ねられた糸の、細い糸のあちこちは切れて細くなり、急激に強度が落ちることも覚えておいてください。細くなっているところを見つければ、要注意です。一方のラインが切れるとカイトはコントロール不能となり、強い風の中で猛烈に回転して地面に叩き付けられ、カイトの損傷は大きいものになる可能性がありますから。
風の強さとラインの関係
初心者が最初に買うラインとしては、80〜100ポンド(38kg〜55kg)のラインがベターです。このラインの強さは、風の強さと連動して考えていただいて結構です。ラインは他の活用方法もありますが、それは後述します。初心者が練習に使用するカイトは普通はスタンダード仕様のカイトです。カイトの風速別の種類には、スタンダード(STD)の他、ウルトラライト(UL)、スーパーウルトラライト(SUL)、超強風用のVented(ベント)がありますが、スタンダードは、普通の風用と理解していいでしょう。その普通の風にマッチしたラインの強さ(曳きの重量)が80ポンドから100ポンドの間のラインです。充分に風があれば、80ポンドと100ポンドの20ポンドの差に神経質になる必要はありません。では普通の風とはどの位でしょうか。風速で言えば、2m/秒強くらいから3.5m/秒の風で、木の葉がヒラヒラし、旗が軽くたなびく程度の風です。木の枝は小枝はしなっても大枝はまだしならない位の心地いい風が、この位の風速です。風速計をお持ちになっていれば、その都度、計って、風速を肌で覚えることが出来ます。ウン万円もする高級なデジタル風速計でなくてもいいですから、目安として風速を計れる、風速計は(ドワイヤーの風速計くらいは安価ですので)、是非、お持ちになった方がいいでしょう。
もう少し風が強くなり、木の枝がしなり、飛ばしているカイトの曳きがズンと増してきたら、100ポンドまでのラインは切れる危険が迫っています。ラインの曳きが徐々に曳き増して行く場合は、結構強くて、容易には切れません。しかし、風が強まると、突風的な部分があったり、力一杯ターンしたりと、何かとカイトには強い負荷が瞬間的にかかるもので、その結果、切れるのです。そのような風速4m/秒を越えると、ラインは150ポンド位に交換してください。もし、80ポンドのラインを1種しか持っていない場合は、カイトの飛行を止めてください。ラインが切れると、カイトが墜落破損するだけではなく、そのカイトが飛び去るようなことになると、事故につながる恐れがあります。構わず強引にやるのはマナー違反です。ラインからピューッと高音の風切音を出すようだと、そのラインを使える限界に来たと思ってください。(エアブレーキの装着もその風速対策のひとつです。)また、スポーツカイトには大きさにかかわらず、曳きが強めのカイトと曳きが弱めのカイトがあり、強めに曳くカイトでは、早めに強いラインへ交換しなければなりません。
ラインと空気抵抗の関係
風速が6m/秒、10m/秒となっても、適切な対応をしていれば、スポーツカイトは飛ばせるのですが、逆に風速が1m/秒しか無くても、ULもしくはSULの軽いカイトに50ポンドのラインを付ければ、弱い風の中でも飛ばせます。
弱い風の中では、100ポンドのラインを使うよりも、50ポンドのラインの方がいいのです。その理由は、ラインの重さだけではなく、ラインの空気抵抗が存在するためです。スポーツカイトが左右に飛ぶ時は、ラインも空気を切り裂いて追従しています。その時は、ラインの重さだけでなく、ラインの太さも空気抵抗となっており、空力的にはドラッグシュートとしてのエアブレーキの状態にあり、風が弱い時は、出来れば抵抗も無い方がいいのです。しかし、細ければ細いほどいいとして、30ポンドのラインにまで下げて使うと、抵抗値は低いですが、ラインが非常に細くて弱いので、ちょっと無理しただけで簡単に切れてしまう危険も大きいのです。(カイトに慣れた人で無いと加減がわからず、あっという間に切りやすい。)そういう意味では50ポンドはバランス上、意味有るサイズといえるかも知れません。
ラインの抵抗はラインが太くなるとかなりなものになり、それを利用してカイトの性能をコントロールする工夫が行えます。例えば、ガスティと呼ばれる、不安定な風の時、カイトはエアポケットの中の飛行機のように揺すられます。こういう場合、軽いカイト(例えばULのような)に重いラインをつけると、ライン抵抗で、カイトの小刻みな揺れを押さえ、安定性を増します。よって、競技の場ではULに200ポンドラインを使うことだってあるのです。ULは50ポンドか80ポンドしか使わない、という常識は必ずしも通用しません。また、風が強めで、スタンダードのカイトのスピードが上がり過ぎる時、エアブレーキでスピードを抑えるのは一般的な手法ですが、エアブレーキによって、今度はスピードが落ち過ぎたり、トルク不足でコントロールがダルになったりして、トリックがやり難くなったり、と、そんな弊害もよくあります。そんな場合、通常ならば150ポンドライン+エアブレーキを使うシチュエーションでも、200ポンド、あるいは300ポンドのラインをつけて、エアブレーキ代りにする。そういう使い方もあります。こうすることで、エアブレーキほどの減速効果はありませんが、ある程度の減速効果を得ながら、クイックなコントロール性は保てるからです。どちらがいいとはいえません。カイトの機種による相性と、その時の状況によりますが、このような使い方は競技下ではよく行います。ラインの使い方に精通すれば、もっともベターなカイト・セッティングにも役立つのです。 
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